民主化と安定化 democratic transition and stabilization 2003 7 28

 フィリピンの国内情勢を見るにつけ、
民主主義の定着には、時間がかかると、
思わざるを得ない。
選挙の洗礼なしに誕生した政権は、基盤が弱いのかもしれない。
歴史を振り返れば、選挙を経ずに誕生した政権は、権力基盤が弱いケースが多い。
こういう政権は、軍と結びついて、権力基盤を固めるケースが多い。
しかし、結局、軍の改革派の勢力により、その権力基盤が揺らいだケースも多い。
大統領が、選挙で勝った大統領ならば、もっと違った展開になったかもしれない。
 さて、今年は、朝鮮戦争休戦協定50周年で、記念式典が行なわれた。
朝鮮半島は、北と南に分かれてしまったが、
この50年を振り返ると、大きく明暗を分けた。
 韓国は、経済的に発展し、国民は豊かになった。
世界的に有名な企業も誕生した。
そして、選挙によって、大統領を選んでいる。
 北朝鮮は、経済的に停滞し、国民は貧しいままである。
政治的には、独裁体制が続いている。
同じ民族なのに、気の毒な結果となった50年だった。
 もし、北朝鮮が、民主主義で、資本主義体制であったら、
北朝鮮も、韓国に負けず、発展したはずである。
 北朝鮮が、いつまで独裁政治が続けられるかは不明だが、
日本の政治家や資金が、結果的に、この独裁政治を延命させた歴史もある。
昔は、与党にも、野党にも、北朝鮮派の政治家がいた。
北朝鮮を訪問して、どのようなことをしてきたのか。
北朝鮮派の政治家については、二種類の政治家がいた。
ひとつは、思想的に北朝鮮に近い政治家。
もうひとつは、パチンコマネーと関係がある政治家。
パチンコマネーに代表される資金の海外送金に絡んだ政治家。
こういう政治家の存在が、拉致問題の解決を遅らせてきた。
これは、結果的には、独裁政治を延命させることになった。
 北朝鮮の民主化の道は、まだ遠いが、
しかし、北朝鮮国内における深刻な人権侵害や人権問題は、解決しなければならない。
どうも、多くの人は、核兵器に対する信仰というものがあるが、
やがて、核兵器が無意味なものだったと気づく時代が来る。
いや、むしろ、核兵器を所有していたことを後悔する時代が来る。
その反作用に、後になってから、気づくのかもしれない。